【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
あんた、ではなく複数形になっているのが気にかかる。クララは小さく首を傾げた。
「そう。つまり今、各王子にはそれぞれ内侍――――婚約者が割り当てられている。どいつもおまえと似たような身分、地位にあるものだ」
コーエンはそう言ってニヤリと口角を上げた。
「なるほど、王子だけで決着がつかないならば、他のものを噛ませてみてはどうかと、そういうことなんですね」
クララがそう口にすると、フリードはコクリと頷いた。
「はい。陛下の考えによれば、王とは良い父、良い夫でなければならない。だから未来の妻――――婚約者たちと如何に関係を築いていくかが重要とのことで」
フリードはそこで言葉を区切ると、真剣な表情でクララを見つめた。穏やかで優しい瞳がそっと細められる。クララが首を傾げていると、フリードはそっと身を乗り出した。
「ボクには、クララしかいないんです」
思わぬ言葉にクララは目を丸くする。手のひらが包み込まれ、頬に熱が集まった。
(クララしかいない、って……!?)
そんな言葉、面と向かって言われるのは初めてだった。初めての体験にドギマギしてしまっても、致し方ないことだろう。
「正確には、『他の王子が選んだ姫君に遜色ないのがクララだけ』だろ?」
コーエンはそう言って小さく鼻を鳴らす。
(こいつ~~~~~~)
夢から現実へ、無理やり連れ戻された気分だった。
この男は、人を苛つかせなければ生きていけない呪いでも掛かっているのだろうか。そんなことを考えながら、クララは唇を尖らせ、思い切りコーエンの足を踏みつける。
「痛って~~~~‼」
隣から上がった耳をつんざくような叫び声に、クララは至極穏やかに微笑む。誰かにこんな仕打ちをしたのは生まれて初めてだ。コーエンの恨みがましい瞳に気づかぬふりをしながら、クララは再びフリードへと向き直った。
「お話は大体わかりました。けれど殿下。わたしはまだ誰とも婚約する気がないのです」
ペコリと頭を下げながら、クララがそう言い放つ。フリードは笑顔のまま小さく首を傾げた。
「それはどうして?」
「そう。つまり今、各王子にはそれぞれ内侍――――婚約者が割り当てられている。どいつもおまえと似たような身分、地位にあるものだ」
コーエンはそう言ってニヤリと口角を上げた。
「なるほど、王子だけで決着がつかないならば、他のものを噛ませてみてはどうかと、そういうことなんですね」
クララがそう口にすると、フリードはコクリと頷いた。
「はい。陛下の考えによれば、王とは良い父、良い夫でなければならない。だから未来の妻――――婚約者たちと如何に関係を築いていくかが重要とのことで」
フリードはそこで言葉を区切ると、真剣な表情でクララを見つめた。穏やかで優しい瞳がそっと細められる。クララが首を傾げていると、フリードはそっと身を乗り出した。
「ボクには、クララしかいないんです」
思わぬ言葉にクララは目を丸くする。手のひらが包み込まれ、頬に熱が集まった。
(クララしかいない、って……!?)
そんな言葉、面と向かって言われるのは初めてだった。初めての体験にドギマギしてしまっても、致し方ないことだろう。
「正確には、『他の王子が選んだ姫君に遜色ないのがクララだけ』だろ?」
コーエンはそう言って小さく鼻を鳴らす。
(こいつ~~~~~~)
夢から現実へ、無理やり連れ戻された気分だった。
この男は、人を苛つかせなければ生きていけない呪いでも掛かっているのだろうか。そんなことを考えながら、クララは唇を尖らせ、思い切りコーエンの足を踏みつける。
「痛って~~~~‼」
隣から上がった耳をつんざくような叫び声に、クララは至極穏やかに微笑む。誰かにこんな仕打ちをしたのは生まれて初めてだ。コーエンの恨みがましい瞳に気づかぬふりをしながら、クララは再びフリードへと向き直った。
「お話は大体わかりました。けれど殿下。わたしはまだ誰とも婚約する気がないのです」
ペコリと頭を下げながら、クララがそう言い放つ。フリードは笑顔のまま小さく首を傾げた。
「それはどうして?」