【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「わたしは16歳です。まだ自分では何も成し遂げられていない子どもです。足を運ぶべき場所、自分自身の心で感じるべきこと……やりたいこと、やらねばならないことがたくさんあります。家を出て城で働くこともその一つでした。貴族の女性が働ける場所なんて限られてるけど、わたしは自分の力を試してみたい。常々そう、思っていたんです」
これまでは、両親や兄たちに大事に守られながら生きてきた。けれど、そのままでは見ることのできない景色がきっとある。感じることのできない経験がたくさん待っている。だから、自分自身の力で自由に動くことができるようになる、16歳という年齢をクララは心待ちにしていたのだ。
「それに、わたしだっていつかは結婚したい。でも、それは今じゃないし、こんな形ではダメなんです」
フリードもコーエンも黙ってクララの話を聴いてくれている。
こんなこと、他人に伝えたところできっと理解してはもらえない。そう思っていても、ついつい説明に熱がこもってしまう。
「だったら、おまえの望む理想の形ってのはどんななんだ?」
尋ねたのはコーエンだった。頬杖をつき、眉間に皺を寄せている。
「わたしは…………運命の出会いがしたいんです」
「「は?」」
クララが答えるや否や、返って来たのは二人分の素っ頓狂な声だった。
これまでは、両親や兄たちに大事に守られながら生きてきた。けれど、そのままでは見ることのできない景色がきっとある。感じることのできない経験がたくさん待っている。だから、自分自身の力で自由に動くことができるようになる、16歳という年齢をクララは心待ちにしていたのだ。
「それに、わたしだっていつかは結婚したい。でも、それは今じゃないし、こんな形ではダメなんです」
フリードもコーエンも黙ってクララの話を聴いてくれている。
こんなこと、他人に伝えたところできっと理解してはもらえない。そう思っていても、ついつい説明に熱がこもってしまう。
「だったら、おまえの望む理想の形ってのはどんななんだ?」
尋ねたのはコーエンだった。頬杖をつき、眉間に皺を寄せている。
「わたしは…………運命の出会いがしたいんです」
「「は?」」
クララが答えるや否や、返って来たのは二人分の素っ頓狂な声だった。