【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「やっぱりビビらせちゃったのかな?」

「自業自得だろ?カールの下に付いたおまえが悪い」


 何と答えるべきか迷っているクララを余所に、シリウスとコーエンがそんなことを話す。


「付きたくて付いたわけじゃないって知ってるだろ?親父と陛下の采配じゃ断れねぇもん。本当は俺だって、お前の方に付きたかったさ」


 口をへの字に曲げながら、シリウスはため息を吐いた。

 どうやらシリウスは、己の意思でカールの側近になったわけではないらしい。彼の従順な仕事ぶりを見ているクララとしては、意外な気がした。


「とにかく!そういうわけだからクララちゃん!俺、カール殿下の前ではあんな感じだけど、仲良くしてよね?ね?」


 シリウスはそう言って唐突にクララの手を握った。大きくて温かい手のひら。男性と触れ合うことに耐性のないクララは、こんな些細なことでも簡単にドキドキしてしまう。

 コーエンが何故か、咎めるような視線でこちらを睨んでくるが、クララは必死にコクコクと頷いた。


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