【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
「クララ……これまで今日のために沢山動いてくれてありがとう。あとは、宴の成功を祈ってて」
フリードはクララの手を握り、優しく微笑む。
綺麗なダークブルーの瞳に中性的な美しい顔。分かりやすく素直な優しさ。どうせなら、フリードの方を好きになればよかったのに。そんな野暮な考えが頭に浮かぶ。
「は……」
「残念だけど、クララにはまだもう一つ、大事な仕事が残ってるよ」
その時、コーエンが口を挟んだ。コーエンはクララの側まで歩み寄ると、じっとある一点を見つめている。
「仕事?」
クララは尋ねながら、コーエンの視線の先を辿る。それと時を同じくして、クララの耳たぶをザラリとした感触が襲った。ふにふにと確かめるように触れてきたそれは、手袋を嵌めたコーエンの指らしい。
(気にしない。もう揺さぶられないんだから)
ついつい騒ぎ出しそうな心臓を抑えつけて、クララは気丈に振る舞う。声に出さず「なに?」と尋ねると、コーエンは眉間に皺を寄せながらため息を吐いた。
「クララ、俺が贈ったイヤリング出して。持ってきてるだろ?」
クララの質問には答えないまま、コーエンはそう囁く。
フリードはクララの手を握り、優しく微笑む。
綺麗なダークブルーの瞳に中性的な美しい顔。分かりやすく素直な優しさ。どうせなら、フリードの方を好きになればよかったのに。そんな野暮な考えが頭に浮かぶ。
「は……」
「残念だけど、クララにはまだもう一つ、大事な仕事が残ってるよ」
その時、コーエンが口を挟んだ。コーエンはクララの側まで歩み寄ると、じっとある一点を見つめている。
「仕事?」
クララは尋ねながら、コーエンの視線の先を辿る。それと時を同じくして、クララの耳たぶをザラリとした感触が襲った。ふにふにと確かめるように触れてきたそれは、手袋を嵌めたコーエンの指らしい。
(気にしない。もう揺さぶられないんだから)
ついつい騒ぎ出しそうな心臓を抑えつけて、クララは気丈に振る舞う。声に出さず「なに?」と尋ねると、コーエンは眉間に皺を寄せながらため息を吐いた。
「クララ、俺が贈ったイヤリング出して。持ってきてるだろ?」
クララの質問には答えないまま、コーエンはそう囁く。