【コミカライズ決定】王太子妃候補クララの恋愛事情~政略結婚なんてお断りします~
 そのとき、緩慢に流れていた音楽が途切れ、会場の明りが暗くなった。ハッ、と息を呑みながら、クララは真っ直ぐに前を向く。


(いよいよだ)


 クララはゴクリと唾を呑む。

 今回の仕事のクライマックス。その幕がいよいよ上がろうとしていた。

 舞台に照明が集まると、中央に長身の男性が二人。東洋風の着物をアレンジした裾の長い、ゆったりとした衣装に身を包み、身を低くして剣を構えている。クララの心臓がドキドキと激しく鳴り響いた。

 音楽が再び鳴り始めると同時に、男性二人が顔を上げた。フリードとコーエンだ。二人は緩慢に視線を絡めあうと、高く剣を掲げた。

 激しい動き。風を切るような鋭い音が、音楽の壁を超えて耳に届く。キィンと音を立てて二人の剣が激しく交わる。

 クララは祈るように手を組み剣舞を見つめる。瞬きする時間さえ惜しかった。




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