Tepes(ツェペシュ)
陣達と別れた校門を潜り、校舎裏へ走ると、誰かが倒れていた。

「お姉!」

駆け寄ると、たしかに姉のルナだった。抱き起こすと、朝とは言えかなりの蒸し暑さの中に居たのに、ルナの体は冷え冷えとしていた。声を掛けても返事がない。気絶しているのかも…そう思い、両親のケータイに連絡を入れ、来るのを待つ事にした。

「…ん?」

何か、姉の首に見慣れないものがあった気がして、長い茶髪をかき上げた。

「…虫刺され…?」

赤い痕が、二つ並んでいる。夏だし、虫に刺されたのかと思ったが、どうも違和感を感じた。

(…まるで…吸血鬼に噛まれたみたい…)
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