Tepes(ツェペシュ)
第二夜

暗黒-ヤミヨ-

夏休みもあけて、その日は始業式。ルナは容態が急変し、あのまま入院してしまっていた。母も父も何も言わないが、どうやらかなり悪いらしい。覚悟しておいて欲しいとでも言われているようだ。

「いってきまーす」

自転車に乗り、いつものように学校へ向かう。そして、陣やヘンリと合流すると、教室へ入っていった。

「美奈〜」

「…何、宿題忘れたの?」

ため息をつきながら、美奈は陣の方に振り向いた。手を合わせ、頭を何度も下げている陣にくすくす笑い、カバンを開けた。

「どの教科?」

「世界史」

「あのさ〜、臨時とはいえ担任の教科なんだからさ〜…」

「歴史、苦手だしさ」

しょうがないな、と苦笑しながら美奈はノートを取り出し、陣に差し出した。

「さんくす!」
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