Tepes(ツェペシュ)
-アナタノ、ココロノナカ-

「は…私…の…中…?」

-ソウ-

「嘘!!」

-嘘ジャナイ-

眩暈がした。悪い夢でも見ている、そう思おうとして足を速めた。声が小さくなる。きっと、空耳だ。そう思うのだ。こんな変なこと、きっと暑さに浮かされて…眩暈のせいだ。

「なんでもないんだから…」

「何がだ」

「っ!?」

頭の上から、いきなり声が降ってきた。なにかと思い、顔を上げると、黒羽が立っていた。

「せ…んせ…」

「どうした、中森…ぼーっとして」

「ぁ…いえ…なんでも…」
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