Tepes(ツェペシュ)

離別-ワカレ-

その夜だった。

「…お姉が…死んだ…?」

電話の向こうで、母が泣きじゃくっているのが聞こえる。何とか落ち着かせようと、声を掛けようとするが、自分自身も動揺していて、何も言うことができない。

「とりあえず…今から、行くから」

それだけ言うと、美奈は夜中の道を走り出した。息が切れるのも構わず、病院へ駆けつけた。

「お母さん!!」

「美奈…」

泣き腫らした目をした母を見て、美奈も泣きそうになったが、堪えて霊安室へ向かった。

「お姉…」

ルナは、まるで眠っているようだった。それを見てはじめて、美奈の目には涙が浮かんできた。

「お姉…なんで…」
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