Tepes(ツェペシュ)
突然、廊下に突風が吹き込んできた。何処から吹いてくるのか、分からない。髪を掻き揚げる。誰か、奥の階段の上に立っている。革靴が廊下を蹴る音が、だんだんと近づいてくる。
「眷属…が…」
「…ヴ…ヴラド…様…」
-ヴラド…-
ルナと、美奈の中の声は、同じ人物の名前を呼んだ。暗闇の中に、黒尽くめの男が立っていた。両手に、何かを持っている。ゆっくり、影がルナと美奈のほうへ近づいていく。美奈の隣を、影が通り過ぎる。
「マーリア」
「!?」
-アァ、アナタ…!-
眩暈が、強くなる。くらくらと、母に身を任せた。
「美奈…」
「お母さん…」
「眷属…が…」
「…ヴ…ヴラド…様…」
-ヴラド…-
ルナと、美奈の中の声は、同じ人物の名前を呼んだ。暗闇の中に、黒尽くめの男が立っていた。両手に、何かを持っている。ゆっくり、影がルナと美奈のほうへ近づいていく。美奈の隣を、影が通り過ぎる。
「マーリア」
「!?」
-アァ、アナタ…!-
眩暈が、強くなる。くらくらと、母に身を任せた。
「美奈…」
「お母さん…」