Tepes(ツェペシュ)
「誰…なの…」

「お前だ」

「違う…私は…」

「マーリア」

手を伸ばす。そのとき

「止めて!!」

頭の上で、母が絶叫した。美奈は顔を上げる。母の顔は、引きつっていた。

「おかあ…さ…」

「止めて…娘を…連れて行かないで…」

「…ふん」

くるりと方向を変えると、また突風が吹いてきた。風に目を瞑り、再び目を開けたとき、もう男の姿はなく、元の姿に戻った、ルナの遺体が倒れているだけだった…。
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