Tepes(ツェペシュ)
「大変だったな…」

「いえ…(先生、来てたんだ…見落としてたかな…)」

「…大丈夫か?」

ぼんやりと考えていた美奈は、いきなり声を掛けられて美奈は我に返った。

「は、はい」

「…」

黒羽が、美奈に近づく。目を上げると、顔が近かった。後ずさろうと足を出すと、それより早く、黒羽は美奈を抱き寄せた。

「せ…んせ…?」

「少し…だけ…」

退ける事も出来ず、美奈は黒羽に抱きすくめられていた。動け、ない。声も出ないような、そんな感覚に眩暈を感じた。

「すまない…」

「どう…したんですか…」
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