Tepes(ツェペシュ)
お化け屋敷とは、この町の外れにある古い屋敷で、誰も住んでいないのに明かりがつく等、ありふれた噂話が囁かれる屋敷だった。

「…だな」

実は、陣はその屋敷で肝試しをした際、恐怖のあまりぶっ倒れた事があり、彼にとっては苦い思い出だった。

「…まだ引きずってるの?」
「うっせ」

そんなやり取りをしていると、あの屋敷が見えて来た。しかし、古ぼけてはげ落ちた塗装が全て塗り直され、新築のようになっていた。

「マジで此処に住んでんのか…」

陣は、屋敷手前の木立に隠れると、その屋敷の外装を眺めて呟いた。すると、鉄の門が開き、黒羽の車はゆっくりと屋敷の敷地内に入っていった。
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