Tepes(ツェペシュ)
ルナは姉。病弱なために、増設した離れに一人で住んでいた。綺麗な姉は、美奈には自慢でもある。

「お姉ー、ご飯だよー」

離れの戸を叩くが、返事がない。いつもならすぐに返事をするのに…。美奈の頭に『発作』の二文字が浮かんだ。

(もしかしたら…発作で倒れてるかもしれない…)

すると、あることに気がついた。

(!?鍵が…鍵が掛かってない!?お母さんが寝る前に、外から掛けてるのに…)

姉にはなぜか、徘徊する癖があったため、何かあってからでは遅いからと鍵を夜は掛けていたのだ。それが、なぜか外れている。

「お姉…?」

中を覗くと、案の定姉の姿は何処にもなかった。

(お母さん達に…知らせないと…ッ!)

そう思うが早いか、美奈は母屋に向かって走り出した。そして、庭からリビングの窓を叩き、事の次第を両親に伝えると、自分は自転車に飛び乗り、姉を探しに走り出した。昔、徘徊しているうちに発作を起こし、入院した事があったのを思い出し、美奈は身震いをした。
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