Tepes(ツェペシュ)
学校の近くまで走ると、幼なじみの二人が歩いていた。

「じーん、ヘンリー!」

呼び掛けると、二人は直ぐさま振り向いた。

「美奈?何やってんの?」

幼なじみの一人、笹森陣は怪訝そうに美奈を見つめた。

「…何かあった?」

もう一人の幼なじみ、桐山ヘンリは、何かを察したらしく尋ねた。

「お姉が…離れから抜け出して…居なくなっちゃって…探してるの…」

息を切らしながら、美奈は二人に理由を話す。

「鍵掛けてたのにか?…じゃあ、登校するかわかんねーんだ?」

陣はそういうと、ヘンリの首根っこを掴んだ。

「ジン、何するのさ」

「お前、混ざりたいとか思ってるだろ。ダメダメ、先公に言いに行くの、俺と」

じゃ、というとヘンリを引きずりながら陣は校舎に消えていった。それを見送ると、美奈はまた走り始めようとした。

-プルル…プルルル…-

「お姉!?」

姉からの着信だった。メールを開くと、「助けて」だけ書かれている。美奈は、助けに行くから、何処にいるのか知らせてと、返信した。するとすぐ、「高校の校舎の裏」というメールが返って来た。
< 9 / 51 >

この作品をシェア

pagetop