【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「カリーネ。終わった? 終わったのであれば、こっちの魔導具を見て欲しいんだけど」

 ちょうど最後の魔導音声放送機の修理を終えたところ。

「はい、終わりました」
 今日のカリーネは作業しやすいゆったりとしたズボン姿だ。だけど、ハイケが昔使っていたという、あの白と黒のチェックの腰エプロンを巻き付けている。
 自分の作業机から立ち上がったカリーネは、ハイケの方へと移動する。各自が集中して仕事に取り組めるようにと、背中合わせの配置になっている作業机。

「ねえ、この魔導回路。不思議な構造をしていると思わない? あまり、見たことないのよ。こう、部品がびっちりと詰まっているというか」

「本当ですね。ぎゅうぎゅう詰められている感じがします。これ、どこの魔導具ですか?」

「それがね。どうやらホルヴィストの魔導具らしいんだけど、ホルヴィストのどこの商会の魔導具かっていうのがわからないのよ」

「銘板、貼ってないんですか?」
 たいてい魔導具には、製品名、製造工場名、製造した日、などの情報が銘板と呼ばれるラベルが貼り付けられている。

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