【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ただ、これはカリーネが考え出した魔導パン焼き機。アイディアを盗まれたというわけではないけれど、レマー商会の目玉商品だっただけに、どこか悔しいという気持ちがある。一方的な婚約破棄通知よりもこちらの方が悔しい。

「そんなところに銘板が貼ってあったの? 普通じゃ気付かないわよね」

「そうですね。ですが、銘板の貼る位置って決められているわけじゃないから。各商会が好きなところに貼ることができるんですよね」

「でもさ。常識で考えて欲しいよね。見えるところに貼るべきじゃない?」

 恐らくその常識が通じない相手というのがラベルゴ商会なのではないか、とカリーネは思った。

「ですが、決まりはない、貼ってあれば文句ないだろ、って言われてしまうと、事実なだけに反論はできませんよね」

 銘板を魔導具に貼って国へ届けることで、正規の魔導具として売ることができるのだが。

「なんか、この魔導回路。ここ、爆発した跡がありますよね」

 基板が少し黒くなっていることに気付いた。周辺の部品も仄かに黒焦げになっている。

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