【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「これ、直すんですか?」
 カリーネが一目見ただけでも、直したくない基板だ。

「そうね。客の希望だから、直すしかないんだけど。こう、部品を交換するのが面倒くさいような基板なのよ」

「びっちりですからね」

 (こて)をあてて部品を取り出すのが大変なくらい、部品がびっちりと乱立している。むしろ、密集だ。

「この周辺はごそっと全部の部品の交換が必要ですよ」
 カリーネは黒焦げになっている箇所を指さした、と同時に、この基板が黒焦げになってしまったことを考える。
 焦げたということは、焦げるだけの魔力がそこに流れてしまったことが原因だ。だが、本来であればこうなる前に安全回路が働くはず、なのだが。

「師匠。これ、回路図に落とし込みをしてもいいですか?」

「私はかまわないけど。どうかしたの?」

「気になることがありまして。そもそも、この回路のこの部分が黒焦げになっているということは、ここにかなり大きな魔力が流れたことになりますよね?」

「そうね。そうでもしなきゃ、ここまで見事に焦げないわよ」
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