【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「むしろ、カリーネは今が成長期だろう?」
 とフランはフォローに入ったつもりだが、成長期という言葉もどうなのだろうと、口にしてから後悔する。

「そうよ、カリーネ。あなたはまだ十六。身長ももう少し伸びるだろうし、胸もお尻も今はぺったんこだけれど、これから成長するのよ」
 姉のフォローがフォローになっていないような気がするのは、気のせいだろうか。
 だが、カリーネはこの胸もお尻もぺったんこな体つきが気に入っていた。ドレスを着ても映えない身体付きではあるが、とにかく動きやすい。魔導具士として工場に呼ばれた時などは、あっちもこっちも身軽に動くことができる。

「お姉さま。私は別に自分の身体に不満を持っているわけではございませんから、心配なさらないでください」

「話がずれてきてしまったようだが」
 なんとかその場を取り繕うとするロード伯爵。女性が三人もいれば、話題がコロコロ変わるのが、この場ではいつものことでもあるのだが、今日は肝心な話をしなければならない。

「まあ、つまり、そのあれだ。ヘルムート殿はカリーネとの婚約解消を望んでいる。だから、書類にサインをして返送しろということなのだが。カリーネは、ヘルムート殿との婚約を解消することに合意する、ということで問題はないか?」

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