【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 次の日。
 あの男ことラーシュと肩を並べて歩いていたカリーネは、学校から工房へ向かう途中。
 半年前まではラーシュの肩の高さにも満たなかったカリーネの頭の位置だが、今ではそれよりもずいぶんと高くなっている。リュックに押しつぶされそうなくらい細かった身体も、どこかふっくらとしていて、リュックが歩いているとは言われなくなってきた。

「ところで。ラーシュさんて何者なんですか?」

 カリーネがラーシュと二人きりになる、ということは、昼食の時間だったり、彼の研究室で勉強したりと、わりと機会はあった。だけど、そこでこのような話をしようという考えは思い浮かばなかった。
 だけど今は、ハイケに言われてラーシュを工房に連れていく途中。ハイケは何かあるとラーシュを頼っていた。あのハイケが頼るということは、ラーシュはいろいろと力のある男なのだろう。

「とうとう俺に興味を持ってくれたのか?」

 興味を持った、と言われたら持ったのかもしれない。カリーネが提案した各工場で不動在庫となっている部品を有効活用する方法を、実現させてくれたのだから。それを引き受けてくれる商会を見つけて、それを必要とする商会に声をかけて。

「そうですね。トッテリ商会に、あのようなことをさせることができるから。興味はありますよね」

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