【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 突然、立ち止まったラーシュは、カリーネの両肩を掴んで自分の方に抱き寄せる。そして、素早く唇を合わせた。

「ごちそうさま」

「あ、え? はぁ? ちょっと。何、するんですか」

 カリーネはごしごしと手の甲で唇をこすった。

「そんな。人をバイ菌のように扱うなよ。ちょっとがっかりするな」

「いえいえいえいえ。ラーシュさん。頭、沸いてるんじゃないんですか? 一体、何してんですか?」

「うん。自分でもそう思う。だけど、カリーネのそんな顔を見たら、我慢ができなかった」

 我慢。我慢って何の? そもそも、ここは外。人も行き交う道。もしかして、誰かに見られたかもしれない、というのに。カリーネにはそんな気持ちが沸々と沸き起こり、もう一度ラーシュを見上げる。じとっと目を細めて、唇を噛みしめて。

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