【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ピカッと、窓の外が一瞬だけ眩しくなった。どこかで雷が光ったのだろう。

「はい。問題ありません。むしろ、喜んで」

 雷鳴が轟く。まだ、雷は遠いようだ。

「そうか」
 と呟くロード伯爵は、どことなく寂しそうにも見えた。

「ですが、お父さま。カリーネとヘルムートの婚約が解消されたとなれば、またカリーネに変な男が群がってくるのではありませんか?」

 それはリネーア自身の経験にもよる。ただ、リネーアの場合、彼女と結婚をした男性はこのロード伯爵の爵位を継ぐことができるという特典もついていたから、カリーネのときとはまた別な意味で変な男が寄ってきたわけだが。
 カリーネの場合は、恐らく嫁ぐときの持参金目当てが多いだろうと推測される。何しろこのロード伯爵。レマー商会と昔からつるんでいるため、そこでの儲けが多いのだ。そして、領地にある魔導具製作工場。ここの売り上げも主な収入源の一つ。もちろん、この工場で働いていない者たちは、実は鉱山で働いている。つまり、鉱業と工業の双方で成り立っているという珍しい場所なのだ。
 どちらがこけても、どちらかが穴埋めをする。そんな役割もある。
< 13 / 222 >

この作品をシェア

pagetop