【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
なぜかラーシュの顔が、カリーネの顔に迫っていた。逃げようと思っても、カリーネの背にはカリーネの机があって、逃げることができない。
またキスされるかもしれない、と思ってぎゅっと目をつぶれば、コツンとおでこに何かが当たった。
「冗談だよ。君もそろそろ十七になるのだろう? デビュタントも終えているのだから、もう少し周囲を気にした方がいい。それにロード伯の娘であることにも、自覚を持ちなさい」
なぜラーシュがそのようなことを口にするのか、カリーネには全くわからなかった。
「あらあら、こちらにいらしたのですね。お茶の準備が整いましたので、どうぞ」
リンが廊下から声をかけてきた。二人の姿が見えなくて、探し回っていたに違いない。恐らく扉が開いたままだったから、二人がここにいるとすぐにわかったのだろう。
「先に行ってるよ」
何事もなく部屋を出ていくラーシュの背を、じとーっと睨みつけることしかカリーネにはできなかった。
ふと我に返ったカリーネは、必要な資料だけ手にすると、急いで居間へと向かう。
またキスされるかもしれない、と思ってぎゅっと目をつぶれば、コツンとおでこに何かが当たった。
「冗談だよ。君もそろそろ十七になるのだろう? デビュタントも終えているのだから、もう少し周囲を気にした方がいい。それにロード伯の娘であることにも、自覚を持ちなさい」
なぜラーシュがそのようなことを口にするのか、カリーネには全くわからなかった。
「あらあら、こちらにいらしたのですね。お茶の準備が整いましたので、どうぞ」
リンが廊下から声をかけてきた。二人の姿が見えなくて、探し回っていたに違いない。恐らく扉が開いたままだったから、二人がここにいるとすぐにわかったのだろう。
「先に行ってるよ」
何事もなく部屋を出ていくラーシュの背を、じとーっと睨みつけることしかカリーネにはできなかった。
ふと我に返ったカリーネは、必要な資料だけ手にすると、急いで居間へと向かう。