【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「これ、保護回路がついていないぞ?」

「はい。そうなんです」
 よくぞ気付いてくれました、とカリーネの声が明るくなる。
「本来であれば、魔力がドンと流れ過ぎた時に、保護回路が働いてその魔力を遮断します。ですが、この魔導具にはその保護回路が無いため、魔導回路全体に大きな魔力が流れ、それに耐えられなかったところが焦げて破損しました。ですから、この魔導回路を修理しても、保護回路が無い以上、同じように壊れてしまう可能性があるということです」

「というよりも、今回は焦げただけで良かったのよ。さっきも言った通り、間違えればこれが発火源となって火事になりかねない」

「だが、これも国に届を出している魔導具なんだろ?」

「ええ。国への届は出ている。だから違法魔導具とは呼べない。だけど、国への届って、魔導具の良し悪しまではみないでしょう? どこで製造して、誰が責任を取るのかが明確になっていれば、こんなクソのような魔導具だって通ってしまうのよ」

「まあ。一応、届けの内容が合っているか、とかその場で動作確認くらいはするが。基本的には書類一本で通るような代物だからな」
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