【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ハイケにまで背中を押されてしまったら、断る理由が無い。

「私が役に立ちますか?」

「君がいないと始まらない。いいよな、ハイケ。カリーネをこちらでもらっても」

「あげないわよ。貸すだけ」

「モテる女は辛いな」
 ラーシュがカリーネの口元に、クッキーを差し出してきたので、つい条件反射でそれをパクリと咥えてしまった。

「相変わらずね、あなたたち」
 そんな二人の様子を、ハイケは楽しそうに眺めていた。

「ラーシュ。時間、あるかしら? 工房の方に来てもらいたいのだけれど」

「ああ。むしろ、そのラベルゴ商会の魔導具を見てみたいな」

「だから、よ。カリーネもお茶を飲み終えたら来なさい」
 まだ口の中にクッキーが入っていたカリーネは、もごもごと口を動かしながら頷いた。

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