【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「そうだ、カリーネ。君はドレスを持っているのか?」
 なぜ、ラーシュからそのようなことを聞かれるのか、カリーネにはさっぱりとわからないのだが。
「持ってはいますけど。もう、サイズは合わないと思います」

「では、準備をしよう」

「別に、着る機会が無いからいらないですよ」

「その機会がやってくる」

「え」
 カリーネはスプーンを咥えたまま、ラーシュを見つめた。

「カリーネ。行儀が悪い」
 たまにハイケは母親のようなことを口にする。

「君が書き上げた資料を議会へ提出する。何も問題が無ければ、そのまま採用されるだろう。そうなるように、俺が指導しているからな。今回の案は、この国の魔導具界を変えるような代物(しろもの)だ。そうなれば、間違いなく君にも声がかかる」

「何のですか?」

「ああいう奴らは、パーティと呼ばれる催し物が好きなんだよ」

< 153 / 222 >

この作品をシェア

pagetop