【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「どうだい、カリーネ。隣国の魔導具士養成学校に通ってみるつもりはないかい?」
義兄にそんな風に優しく問われたら、断る理由など見つからない。むしろ、魔導具士養成学校という名前そのものが、カリーネの心を掴んで離そうとしない。
「カリーネは、魔導具士としてこれから伸びるよ。だけど、ここで独学で学んでは必ず壁にぶつかる。隣国へ行き、然るべき師匠につくべきだ」
「あぁ……」
そこで、声に出るほど息を吐いたのは母親。
「そもそも、あのモンタニュー公爵家がカリーネを望んだときに疑えばよかったのよ。カリーネがデビュタントしてすぐでしょう? しかも、カリーネなんてこんな貧弱な身体なのに。私も、舞い上がってしまったのね」
娘をさりげなくけなしているようにも聞こえるのだが、どうやらカリーネは気付いていない様子。
カリーネがヘルムートと婚約したのは、カリーネが社交界デビューをした十日後。相手がモンタニュー公爵家と知った母親が、断る理由など無い、と熱く語ったから。
だが、このときもフランだけは冷静だった。モンタニュー公爵は歴史ある家柄であるが、最近は資金繰りに悪化しているようだ、ヘルムートにはよくない噂が流れている、と。
義兄にそんな風に優しく問われたら、断る理由など見つからない。むしろ、魔導具士養成学校という名前そのものが、カリーネの心を掴んで離そうとしない。
「カリーネは、魔導具士としてこれから伸びるよ。だけど、ここで独学で学んでは必ず壁にぶつかる。隣国へ行き、然るべき師匠につくべきだ」
「あぁ……」
そこで、声に出るほど息を吐いたのは母親。
「そもそも、あのモンタニュー公爵家がカリーネを望んだときに疑えばよかったのよ。カリーネがデビュタントしてすぐでしょう? しかも、カリーネなんてこんな貧弱な身体なのに。私も、舞い上がってしまったのね」
娘をさりげなくけなしているようにも聞こえるのだが、どうやらカリーネは気付いていない様子。
カリーネがヘルムートと婚約したのは、カリーネが社交界デビューをした十日後。相手がモンタニュー公爵家と知った母親が、断る理由など無い、と熱く語ったから。
だが、このときもフランだけは冷静だった。モンタニュー公爵は歴史ある家柄であるが、最近は資金繰りに悪化しているようだ、ヘルムートにはよくない噂が流れている、と。