【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「ラーシュから話を聞いているとは思うが、魔導具とオレの魔力が干渉してね。どっかーんと爆発した。まあ、火はすぐに消したけど、使っていた場所はほんのり黒焦げさ」
 と指で示した場所は執務席の隣。壁がほんのり焦げている。

「それは、そのときの?」
 カリーネが尋ねると、マルスランは「そ」と答える。

「黒焦げになったところは、魔法でちょちょいと直せるんだけど。困ったことに、治癒魔法というのは自身に使うことはできないからね。さらに言うならば、治癒魔法は高等術式であるため、誰でも使えるというわけではない。むしろオレしか使えない」
 高等術式である治癒魔法。それは主にこの国の重鎮たちに何かあった時に使用する、と聞いている。その治癒魔法の使い手が一人しかおらず、その使い手が怪我をしているこの状況。

「というわけで、だ。オレはオレをこんな目に合わせた魔導具店へ文句を言いに行ったわけ」
 それだけでもなかなか行動力のある人物だとは思うが、その先の結果はラーシュから聞いている。

「ところがさ、門前払いよ。うちの魔導具がそんなことを起こすわけがない。使い方が悪いだの証拠が無いだの。それでさ、オレ。カッチーンときちゃったわけね」

 なんか怒らせてはいけないヤツを怒らせてしまった、という気持ちがカリーネの中で沸き起こる。のだが。

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