【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ラーシュの目は「お前は黙っていろ」と訴えているし、カリーネは気にもせずに「そうですよ」と答える。

「だからって君たち、付き合ってるわけでもないんでしょ?」
 カリーネにはこのマルスランの言っている言葉の意味がわからない。だから、首を傾げることしかできない。

「ま、いいや。とりあえず本題。カリーネ嬢は何も知らなそうだから」
 ここには魔導士と会う、という名目で連れてこられたカリーネは、それ以上のことは何も知らない。

「あのね、カリーネ嬢。君、魔導具について認証制度を立ち上げたいって提案したんだよね」

「あ、はい」

「案には特に問題はないんだけどさ。あれを提出されたことによってさ、委員会に入れって言われたわけ。オレが。このオレが」

「こいつ、こう見えても魔導士団の団長だからな」
 それは先ほども聞いた。

「おいおいラーシュ。こう見えても、っていうところが余計だろ? どっからどう見ても立派な団長じゃないか」

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