【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ラーシュがすっと立ち上がり、その指に手をかけた。

「バカなことを言うな」

「おお、怖い。バカなことじゃないだろう? 本当のことだ。これからカリーネ嬢が表舞台に立とうとするのであれば、彼女を邪な目で見て、付け入ろうとする輩だって出てくる。こういう純粋な子は、誰か守ってやらなきゃならないだろうが」

「だからって、なぜそれがお前なんだ」

「君が何もしないからだろう?」
 ふん、とマルスランはラーシュの手を払った。

「カリーネ嬢。考えておいて。オレと付き合うこと。結婚したとしても、オレ、浮気はしないから。カリーネ嬢、一筋だってことだけは伝えておく。それに、カリーネ・カルネリって語呂もいいと思わない?」

「あ、はい」

「そこで返事をするな」

「ラーシュ。カリーネ嬢に八つ当たりするのは良くないよ。あ、カリーネ嬢、返事は……。そうだな。この認証制度が正式採用になるまで、ね。それまでは委員会とかで顔を合わせることになると思うけど、よろしくぅ」

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