【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「ラーシュさん。どうかされましたか?」

「どうもしない」

「ですが、怒っていますよね?」

「そう、見えるのか? 怒っているつもりはないのだが」

「そうですか……」

「だが、物凄く嫌な気持ちになっているのは事実だな」

「どうしてですか?」

「さあな」
 そこでラーシュはニヤリと笑った。
「カリーネ。俺の隣に来い」

「え、狭くないですか?」

「狭くはないだろう? この馬車だって四人は乗れるようになっているのだから」
 こいこい、とラーシュが手を振っている。カリーネは立ち上がって、ラーシュの隣に移動した。

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