【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「カリーネ。君はマルスランと付き合う気があるのか?」

「え? ありませんよ。何を言ってるんですか」

「すぐに答えなかったからだろう? その気がないなら、その場で断ればいいじゃないか」

「だって、他にも人がいるのに。あの場で答えていいものなのですか?」
 それにラーシュは答えない。公開告白をしたのはマルスランのはずだから、何も気にする必要は無いのだが、それに応えるカリーネを想像したとき、どこか胸が痛む思いがしたから。

「そうだな。じゃ、後でこっそりと断れ」

「そうします」

 ガタンと馬車が激しく揺れた。
「あ」

「申し訳ありません。何かに乗り上げたようです。お怪我はありませんか」
 御者から言葉が飛んできた。

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