【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「カリーネ。ラーシュの奴が君と婚約したいと、書類一式を送ってよこしたんだが」
両親の視線がカリーネに突き刺さる。特に、母親の目は「よくやった」と褒めている。
「フラン。そのラーシュというのは、ストレーム国のロレンティ公爵のことか?」
「そうです。私が向こうで勉強をしていたときに懇意にしていた男です。確か、爵位をもらったのはここ二年と聞いておりますが、まだ研究生の身。領地のことは家令に任せて王都にいるはずです。それに、何年か前に、こちらに見学に来たこともあるんですよ。ちょうど、私が留学を終え戻ってきた時期ですね。彼も魔導具を専門とした研究を行っていますから。魔鉱石が採掘できて、魔導具の工場を持っているこのロード伯領というのは、ある種、魔導具士の聖地なんですよ」
聖地、という言葉にロード伯は苦笑する。嬉しいような恥ずかしいような、そのような気分だ。
「ああ。覚えている。なかなかの好青年だった。そうか、あのときの青年がロレンティ公爵か」
先ほどから父親と義兄が誰についての話をしているのか、カリーネには全くわからなかった。ロレンティ公爵という名が出てきているが、その名もカリーネに心当たりはない。だから他人事として聞いていたのに、いきなり父親から。
「カリーネ。君はロレンティ公爵のことをどう思っているんだ」
と、聞かれれば。
「私、ロレンティ公爵という方は存じ上げません。今、お付き合いしている方は同じ学校の研究生であるラーシュ・タリアンさんです」
両親の視線がカリーネに突き刺さる。特に、母親の目は「よくやった」と褒めている。
「フラン。そのラーシュというのは、ストレーム国のロレンティ公爵のことか?」
「そうです。私が向こうで勉強をしていたときに懇意にしていた男です。確か、爵位をもらったのはここ二年と聞いておりますが、まだ研究生の身。領地のことは家令に任せて王都にいるはずです。それに、何年か前に、こちらに見学に来たこともあるんですよ。ちょうど、私が留学を終え戻ってきた時期ですね。彼も魔導具を専門とした研究を行っていますから。魔鉱石が採掘できて、魔導具の工場を持っているこのロード伯領というのは、ある種、魔導具士の聖地なんですよ」
聖地、という言葉にロード伯は苦笑する。嬉しいような恥ずかしいような、そのような気分だ。
「ああ。覚えている。なかなかの好青年だった。そうか、あのときの青年がロレンティ公爵か」
先ほどから父親と義兄が誰についての話をしているのか、カリーネには全くわからなかった。ロレンティ公爵という名が出てきているが、その名もカリーネに心当たりはない。だから他人事として聞いていたのに、いきなり父親から。
「カリーネ。君はロレンティ公爵のことをどう思っているんだ」
と、聞かれれば。
「私、ロレンティ公爵という方は存じ上げません。今、お付き合いしている方は同じ学校の研究生であるラーシュ・タリアンさんです」