【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「うん、カリーネ。ラーシュがそのロレンティ公爵なんだけど。君は、私たちの話を聞いていなかったのかい?」

「ええっ。ラーシュさんて公爵様だったんですか?」

「カリーネ」
 驚くカリーネに穏やかな声をかけたのは、母親である。
「あなた。公爵様と知らずにお付き合いをなさっていたのね」

「はい。そうみたいです」

「でしたら、この婚約をお受けしなさい。あなたは公爵様の肩書に惹かれたのではなく、その人柄に惚れたのでしょう? だったら何も問題はありません」

「いえ、ですが。相手は公爵様ですよ? 隣国の」

「あら、あなた。一年前はこちらの公爵のバカ息子……ではなくて、令息と婚約していたでしょう。ですから、ロレンティ公爵と婚約しても何も問題はないのではなくて?」

「そうですかね?」

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