【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 フランが口にした通り、ラーシュとカリーネは身体を密着させて、何やら話をしている。内容は魔導具の認証制度についてであるにも関わらず、その手を取り合っていることから、他人から見たらじゃれ合っているように見えるのだ。

「でも。カリーネがラーシュと婚約して良かったわ」

「どういう意味だ?」

「言葉の通りよ。カリーネ目当てで工房を訪れる人も多くなったからね。ま、そういう不埒な客は、リンさんが箒を振り回して追い返してるけど。ホント、カリーネはここでは有名人よ。学生でありながらも魔導士認証委員会の一員。見目も可愛いし、素直だし、魔導具の知識も豊富だし。何よりも、利用者のことを一番に考えるし。カリーネのおかげで私の仕事も増えたのよね」

「そうか」

 素直なカリーネのことだから、もしかしたら変な男に騙されるかもしれないということをハイケは心配していたのだろう。だが、異性よりも魔導具に興味があるカリーネが変な男に騙されるほど親密な仲になるか、というところの方が疑問だった。そういった意味でも、カリーネの側にラーシュがいてくれて良かったのかもしれない。
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