【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 思わずカリーネは尋ねてしまった。書類一枚で手続きは終わり、と思っていたから。

「ラーシュの立場を考えたら必要だよね。今は、こっちがあって忙しいからって、どうせそんな理由で断ってるんでしょ?」

「え、と。ラーシュさんて、そういうことをしなければならない立場の方なんですか?」

「ちょっと待って、ラーシュ。君さ。カリーネ嬢に言ってないわけ?」

「何をだ? 爵位を継いだことは言った」

「じゃなくてさ。なんで爵位を継ぐようになったかの過程だよ」

「必要ないだろ?」

「いやいやいやいや、あるでしょ? カリーネ嬢、ラーシュが前国王の息子だって知ってた?」

「え?」

「愛妾の子? 恋人の子? なんだけど。ほら、前国王って独身だったでしょ? それって、ずっといなくなったラーシュの母親を思ってたかららしいよ。ラーシュ本人は自分の身分なんか知らなかったみたいだけど、前国王にそっくりでさ。あの学校に通うようになったら、こう、身分が知られちゃったっていうか。まあ、今の国王は前国王の弟になるわけだけど。そんでもって、ラーシュ本人はそういうことに興味は無いらしいんだけど。それでも、優秀だからね。それで、今の国王が持っていた爵位を継いだわけ。ラーシュは王族のなんとかを放棄したとかなんとかだから。まあ、次の国王は、ラーシュの従兄弟になるってわけだね」

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