【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「お前……。なぜ、この場でそれを口にする」

「ラーシュがきちんとカリーネ嬢に伝えていないからでしょ。大事なことだよね?」

 大事なことだよね、とマルスランに言われ、カリーネは考え込む。大事なことかもしれない。だけど、ロレンティ公爵を継いだということは、それなりの身分なんだろうなとは思っていたから、今更驚くようなことではないのだが。

「ラーシュさん……。帰ったら、説教です」

「すまない」

「説教です」

 ラーシュの腕をするりと解いたカリーネは、マルスランの方へと歩き出す。歩き方から察するに、彼女は間違いなく怒っている。
「マルスランさん、魔導士の皆さんを紹介してください」

「じゃ、そういうことだから。カリーネ嬢を借りるね。あ、そうそうカリーネ嬢。あの魔導パン焼き機なんだけど……」

 だからといって大人しくほいほいとカリーネとマルスランを二人きりにさせるラーシュでもなく、悔しそうに顔を歪ませながら、二人の後を追っていく。

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