【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 祝賀会も無事に終わり、魔導具の認証制度も本格的に動き出した。だが、評価する場所が無いと言う話になり、魔導具士養成学校の研究棟の空き教室を当分の間借りることになっている。研究棟も選ばれた者しか入ることはできないし、さらに空き教室にも同様の機能をつけることで魔導具認証委員会のメンバーしか入室できないようになっている、のだが。なぜかラーシュもそこにいた。どうやら彼もいつのまにか認証委員会のメンバーになっていたようだ。
 カリーネが過負荷試験を行っている隣で、それを見守っているラーシュ。まだ、評価内容というものも手探りの状態で決めた内容であるため、それを実際に行い、過剰な要求ではないか、試験の不足はないか、ということを確認していた。

「やはり、過負荷試験は一故障モードのみで良さそうだな。二故障というのは、過剰要求かもしれない。絶対ないとは言い切れないが、確率的には低いからな」
 ぶつぶつ何かを口にしては、その確率について計算し出すラーシュ。やはり、こういうところは研究者なのだろう。
 ハイケからは無自覚に触れ合っている、と言われている二人であるが、さすがにこの魔導具を評価しているときには、そのようなことは無いらしい。これを終え、彼の研究室に戻った後のことは知らないが。

 さて、その認証制度であるが、一つの魔導具を評価して報告書を作成し終えるのに、約二十日の日数を要する。評価をする者、報告書を作成する者、不具合があったときにその申請者へ問い合わせる者、など、設立時の認証委員会のメンバーだけでは人も足らず、追加で人を雇うことになった。設立時の認証委員会のメンバーは役員と呼ばれ、その報告書の全体を確認し、承認印を押印するのが仕事の一つとなっていた。さらに、定期的に工場などの監査に向かうのも役員たちの役目。工場の監査は、年に一回から四回を想定しており、優良な工場であれば監査の回数を減らす、という制度にしてある。また、初めて認証申請をする際には、初回工場監査も行っていた。そのため、認証委員会の役員の仕事は大忙しである。
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