【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「荷馬車の御者は? どなたかを頼まれたのですか」
 リネーアがきょろきょろと周囲を見回したのだが、御者のような人間は近くにいない様子。

「まさか、私が手綱を握るよ」

「お義兄(にい)さまが?」

「カリーネ。いちいちそんなことで驚かないでちょうだい。この人、何でも自分でやる人だから。ま、そういうところに惚れたんだけどね」

 うふふ、と隣国にきてまで姉は惚気ている。カリーネは小さく息を吐いてから、姉を見た。やはり、顔はニヤニヤとして惚気ている。

「さあ、二人とも。荷物を乗せたら、君たちも乗りなさい」

「荷台に?」
 カリーネが尋ねると「そうだよ」とフランは答える。
「楽しそうだわ」

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