【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
すると、目の前のラーシュはぶふっと笑いをこぼす。
「なんだ、その顔は。まるで子リスみたいだな。……、うん。子リスちゃん。ほら、お菓子でも食べな。きちんとご飯は食べているのか?」
「そうなんだよ、ラーシュ。カリーネは困ったことに、魔導具に夢中になりすぎてよくご飯を食べるのを忘れる。だから、ここに留学させるにあたって、心配なところがそこなんだよ。悪いが、それを見張ってもらいたい」
「なんだ、フラン。この俺をこの子リスちゃんの見張りに使うなんて。人使いが荒いな」
と言いながら、ラーシュの手には、一口サイズのクッキーがある。そのまま自分で食べるのかと思いきや、なぜかカリーネの口元に差し出す。
「はい、子リスちゃん。君のお義兄さまに頼まれたからね。きちんと、お食べ」
カリーネの鼻孔を、クッキーの甘い匂いが刺激する。悔しいけれど、このクッキーは悪くない。口をぱくっと開けて咥えると、ラーシュは目を細めて楽しそうに笑う。
「つまり、こうやって餌付けをすればいいんだな」
「ラーシュ。相変わらず君は失礼なやつだな。だが、カリーネにきちんとご飯を食べさせてくれるなら、手段は選ばない」