【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「だから、あなた。そんなに細いのね」
 ラーシュの隣にいたハイケも、じーっとカリーネの顔、というよりも顔より下を見つめてくる。
「いい? あなたを弟子にするための約束事。ご飯はきちんと食べる。夜は寝る。以上」

「ねえ、フラン。ハイケが言っていることって、ものすごく当たり前なことのような気がするのだけれど」
 紅茶で喉を潤したリネーアが首を傾げるのだが、それを聞いたフランは苦笑するしかない。

「リネーアだって知っているだろう? カリーネが夢中になれば寝食を忘れてしまうということを」

「ええ、知ってはいるけれど。それをこのように口にされてしまうとねぇ……。カリーネって人としてどうなのかしら、と疑いたくなってしまうわ」

「お姉さま、酷い……」
 と言いながらも、先ほどから目の前に差し出されているクッキーをパクパクと食べているカリーネ。

「それで、先ほどからそこの二人は何をやっているんだい?」

「フランが俺に頼んだんだろ? 彼女にきちんとご飯を食べさせるようにって」

「まあ、そうだが……。でも、それはご飯ではなくて、お菓子だろう?」

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