【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「アグネスさぁん」
 カリーネがアグネスに助けを求めると、彼女は口の両端を持ち上げて笑っている。

「みんな、カリーネが可愛くて仕方ないのよ。だって、こんなに可愛らしいんだもん」
 アグネスがカリーネの頭を抱えて、自分の胸元に押し付けてくる。これではまるで、愛玩動物のような扱いだ。
「いくら十六から通えるといってもね。みんな、もう少し過ぎてから通うのよ。魔導具士として仕事を経験してからね。だから、カリーネみたいな子は珍しいの」
 愛玩動物ではなく、珍獣扱いだったのか。それでも、いじめられたり嫌がらせをされたりするわけではないので――つまりそれだけ大人な学生たちが集まっているのだ――、そこだけは安心ができる。

「カリーネはどこの工場で働いているんだい?」
 一人の男性、恐らく年は三十代後半くらい、が尋ねた。
 働いている前提で質問をしてくるあたりが、この学校に通う学生たちの特長を表している。

「あ、はい。お師匠さまはハイケさんです」

「えっ」
 周囲にいた人たちが、ささっと一歩退いた。
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