【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「ハイケってあのペッツォだろう? 愛想がなくて偏屈な」

「え、そうなんですか?」
 カリーネは首を傾げる。カリーネの知っているハイケは、カリーネの世話を甲斐甲斐しくして、さらに魔導具士としての仕事も手伝わせて、世話好きなお姉さんに見えたのだが。愛想がないにも、偏屈にも、カリーネには心当たりは無い。
「お師匠さまは、とても優しいですよ」
 カリーネのその言葉に、誰もが信じられないという表情を浮かべている。

「きっと、それはカリーネのせいね。だって、こんなに可愛らしいんだもん」
 はい、あーん、とアグネスが言うものだから、つい口を開けてしまえば、その口の中に焼き菓子を放り込まれた。
 もぐもぐしながらカリーネは考えた。母親からも姉からも貧相と称されているこの身体だが、もしかして役に立っているのでは、と。愛玩動物でも珍獣でも、可愛がってもらえるのであれば、嫌われているよりは数百万倍いいだろう。それにカリーネ自身がこの身体を一番気に入っている。何より動きやすいからだ。

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