【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「はい、授業を始めるよ」
 眼鏡の髭面教師が教室に入ってきたところで、カリーネの机の周りに集まっていた人々は散り散りになって自席についた。髭面教師はちらっとカリーネに視線を向けたが、まるでカリーネという学生が随分前から存在していたかのように、授業は進んでいく。

 魔導具士養成学校で教える内容は、魔導具の基本的構造から。そして、安全設計、寿命問題、環境問題、人々の生活へ与える影響等、多岐にわたる。
 独学で魔導具の構造を学び、なんとなくこんな感じでの設計をしてきたカリーネにとっては、やはり他人や教科書から学ぶことというのは、新鮮だった。
 授業はお昼の前に二コマ行われる。一コマは一時間半。ここの学生は仕事を持っている者が多いから、昼前の授業が終われば帰り、そのまま仕事に向かうらしい。カリーネの場合は、仕事といってもハイケの工房で好きにしているだけなので、まずは学校で学ぶことを優先されている。
 昼前の二コマの授業が終わり「またな」と、皆、カリーネに手を振って帰宅していく。どうやら、昼食は自宅でとるらしい。

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