【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
「カリーネ」
 リュックに教科書をつめていたところで、名を呼ばれた。
「あ、ラーシュさん」
 珍しく名前で呼ばれたため、その声の主がラーシュであったことに気付かなかった。

「飯、食いに行こう」
 誘われてしまった。そういえばこの学校には食堂があると言っていたような気がする。

「ああ、カリーネはラーシュと知り合いだったのね」
 まだ教室に残っていたアグネスが二人を交互に見つめる。

「アグネスさんとラーシュさんも知り合い?」
 よいしょとリュックを背負ったカリーネが尋ねた。

「そうね。ラーシュはこの学校では有名人だから」

「ある意味、アグネスも有名人だな」
 ラーシュがくすり笑えば、アグネスはジロリと睨む。

「ラーシュ。私の可愛いカリーネをいじめないでよね」

「いつから君の可愛いカリーネになったんだい?」
 ラーシュはカリーネの手を取ると、すっと引き寄せた。

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