【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ハイケが部品棚から、慌てて蓄魔力器を持ってくる。
 二つ並べてみれば一目瞭然。ロゴが違う。

「つまり、この蓄魔力器が偽物ってこと?」

「そういうことになりますね。恐らく、最初のうちは八百マジーくらいの大きさを持っていたと思うんですけど。偽物だから、劣化も早かったのでは、と思うんです」
 だから八百という数値が書かれていても、測定値は百マジーだったと、カリーネは言いたいのだ。

「これは、ボルネマン商会に確認した方がいいわね」

「はい。もしかしたら、ボルネマン商会も気付いていないかもしれません」

「そうね。あそこはこんなことをするような商会じゃないもの」

「偽物の部品を買わされた、ってこともあり得ますよね?」
 カリーネのその言葉に、ハイケはゆっくりと頷いた。この現状が、魔導具業界に及ぼす影響というのは計り知れない。もし、ボルネマン商会が騙されて部品を入手していたというのであれば、他の魔導具を取り扱っている商会にも、今すぐ情報を展開すべき案件である。

「仕方ない。面倒くさいけど、あの男を呼ぶか……」

「あの男?」
 あの男に心当たりのないカリーネは小首を傾げることしかできなかった。

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