【コミカライズ】【電子書籍化】婚約破棄された伯爵令嬢ですが隣国で魔導具鑑定士としてみんなから愛されています~ただし一人だけ溺愛してくる~
 ラーシュに言われ、カリーネはリュックからごそごそと何やら取り出した。それはクッキーの缶のようにも見えるが、というより、クッキーの缶である。ただ、蓋を開けると入っているのはクッキーではなく(ちく)魔力器。

「これは、蓄魔力器じゃないか」
 ボルネマンが手を伸ばして、缶の中に入っている蓄魔力器を一つ手にする。

「それは、ボルネマン商会の魔導音声放送機に実装されていた蓄魔力器だ」
 ラーシュが腕を組んだ。

「だから、見たことがあるなと思ったんだな」
 右手の親指と人差し指で摘まんだ蓄魔力器を、ボルネマンは四方八方からじっと見つめている。

「だがな、その蓄魔力器。本来であれば八百マジーの大きさを持っているはずなんだが」
 ラーシュの言葉に、ボルネマンはかけている眼鏡を頭の上に乗せた。それからじっくりと蓄魔力器を眺める。

「そのようだな。ここに八百と書いてある」

「測定器で確認してもらいたい」
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