夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
15年振りとなってしまいお墓の状態も気になっていたが、京子の家族が管理するからと申し出てくれ、甘えてしまっていた。
お墓の前に一人の女性が手を合わせていた。
俺は近づき声を掛ける。
「あの……」
その女性が振り向く。
「はい…。あらっ…もしかして卓人さん?」
お互いに少し驚いたように目を瞬かせていた。
「はい、あなたは…宮子さん…でしょうか?」
「えぇ、ご無沙汰してます。卓人さんはいつ日本に戻られたのかしら?」
「昨日の夜に着きました。それで、一番に京子に報告しようと思って…」
「まぁ、ここで会えるなんて。京子が会わせてくれたみたいね。元気だった?」
「はい…向こうに行ってしばらくは塞ぎ込んでいましたけど、もう16年ですからね。少しは立ち直りましたよ」
「それなら良かったわ。母も卓人さんのこと最後まで心配していました」
「お義母さんが…そういえば桂木さんが…お義兄が連絡くれていたのに、挨拶に伺わずすみませんでした」
「アメリカにいたんですもの、いいのよ。それより来月15日なんだけど、京子の17回忌をするのだけど、卓人さんも出席できる?」
「是非、出席させてください」