夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
17回忌…そんなことも失念していた俺は義姉からの申し出をありがたく思う。
「卓人さんは今どちらにお住まいなの?京子の位牌はご自宅にお持ちになられるかしら?」
「まだ住むところは決まっていなくて、しばらくは友人の所に住まわせてもらい、家はこれから探そうと考えているんです」
「じゃあ、住む所が決まってからお渡しするわね。それまでいつでも家に来てくれて構わないから、京子も待ってるわ」
「ありがとうございます」
「来月のことは後で連絡するわね。それじゃ、お先に失礼するわ」
京子の家族にはたくさん世話になってしまい、申し訳ない気持ちがある。
現実を受け止めきれなかった俺の代わりにいろいろしてくれたことは感謝の気持ちしかない。