夢の中だけでもいいから私に愛を囁いて
それから部長、卓人さんは毎週一回はお線香をあげに我が家に来るようになった。
「部長は今はどこにお住まいなんですか?」
素朴な疑問をストレートに聞いてみた。
「…いや…今はまだ城田のマンションのゲストルームを借りているんだ」
「副社長のマンションにいるんですか?まぁ、広いお家でしたし、職場も近くて素敵なところですよね」
「城田の家に行ったことがあるの?」
「一輝くんが産まれて間もない頃に、紗奈ちゃんが職場に来たことがあって、一緒に遊んだことがあったんです。素敵な家庭ですよね。奥様も綺麗で優しくて」
「そうか…でも、部屋は別でゲストルームを貸してもらってる。ゲストルームって言うよりはゲストハウスって感じかな。さすがに同じ場所にはいられないからな」
「ゲストハウスがあるなんて、本当に副社長って凄いんですね」
「あのマンション自体がアイツの持ち物だからな、同じフロアにゲスト用の部屋があるんだよ。おかげで時々夕飯にも呼んでもらったりして助かっている」